2019/05/02

芸術を重んじる国に

こんにちは

元号が変わるとき、テレビ画面を見ながら願いました。芸術を重んじる国であってほしいと。

芸事に習熟した人、芸術を重んじる人は繊細な心を持っているものです。アンテナを最大限に張り、高みに上るための情報をなるべく多く集めようとする行動に出るものです。とくに、周辺に居る人たちを「仲間」と思い吸収力を発揮します。

皇后陛下と上皇皇后を拝見していると、繊細な心を持っていることを感じます。その繊細な心が、国民の声を聴く力となり、接した人々は慰められたように感じる。そんな純な心あればこそ、国民の上に立ってくださっているんだなあと、思います。

純な心を持つ皇后様を、国民の一人として応援申し上げたいと思います。

いえ、天皇ご夫妻のみならず国民もまた芸術を大事にする国でいられるよう、国会は政治を司ってもらいたく願います。

 

 

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平成最後の句

元号が令和になりました。

平成時代最後の節分に、作っておいた句があります。記録のため残します。

平成31年2月3日、湘南へ出かけていた友人が海で撮った短い動画を送ってくれました。それを見て、一句。

帆と波と 相照らしては 鬼を撃つ

 

今年は陽を感じることが多い年です。例えば、1月22日の朝、朱色に輝く朝日で目が覚めました。

夕陽より 赤い朝焼け 染む春日

 

令和になった5月1日は雨が降る日でした。朝焼け、高い空に輝く陽とは反対にある始まりでした。

 

 

 

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2019/03/26

根深い女性差別

こんにちは、吉田鈴香です。


国会中継で、自民党の女性議員が女性差別、蔑視、ハラスメントについての質問を総理にしていました。この方もそうなのかと、興味深く聞かせてもらいました。女性への差別、蔑視の根強い風潮は、昨年来話題になっては消え、また話題が沸いてまた消えて…の繰り返しです。


「そんなものない」と言いきる男性にこそ、態度、言葉はまことにハラスメントに満ちています。卑近な例ですが、私の場合さほど遠くない日にこんなことがありました。ハラスメントがなぜ害悪なのか、お話ししましょう。


ある日、要職にある人物の側近が、私に、重大な秘密文書を手に入れてほしいと言ってきました。文書を手に入れたくて頻繁に飲食を馳走して手なずけてきたつもりだった人が渡してくれないのだ、君の方で手に入るかな、と、舌打ちをしながら依頼してきました。目的、使途を一切言いませんでしたが、入手したい気持ちは理解できたので、あるルートから手に入れ、翌日ハイと、手渡しました。すると、


「チっ! オンナの魅力で手に入れたか、フン」


鼻を鳴らして、指先で巻き上げていきました。


この言葉を聞いて、私は秘密文書とともに手渡されたメッセージのほうを渡しませんでした。メッセージにこそ、文書を読み解くカギがあり、日本政府に「こんなことをして、こういう結論を導いてほしい」と期待する具体的内容がありました。メッセージも付けずにホイホイ渡してもらえる文書だと思っていたようです。


これが2回ありました。その文書で一体どんな成果を上げたのか、全く音沙汰なし。成果など上げられるわけもなし。


たった一人(わたし)への侮辱のつもりが、世の中全体の損失を生んだわけです。わずかな意地悪が社会全体、日本の外交の成果を焼失させてしまう恐ろしさ。これが、ハラスメントを止めるべき事由です。決して個人間の確執や感情の薄れ違いなのではないのです。


この人物は、20万人以上の組織を率いる人にも「この国で何かをしたいなら自分にまず話を通すように」と”命じる”ほどの人です。多くの人を憤然とさせているのは広く知られているのに、出世してしまいました。


あの文書、その後どうしたのかな。楽しみに見ているところです。


 

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2018/07/29

霧に突っ込む

ワシントンDCに戻る道の遠くに、霧が高く立ち上っているのが見えた。夜半のことゆえ、霧の向こうは見えなかったが、車が次第に近づくと、霧と思ったベール状の空気は、煙だった。

 
煙は幾筋ものタテの線を表していた。タテ線はわたしの目の高さまで直列に並び、上の方でふんわりと曲げ落ちていた。
 
曲げ落ちる線を見て、ふと思った。
 
―――サーフィンの上で身をかがめて待つ大波みたいだ。大波は羊羹を切った断面みたいで好きだったけど、これは違う―――
 
刹那、目の前の煙の正体は多重衝突事故の現場だったと知った。
 
そこへ、突っ込んだ。
 
目が覚めた時、病院のベットでドクターがわたしの目をのぞき込んで言った。
「やあ、気が付いたね。あの事故で生きているとは驚いたよ。何か欲しいものはありますか?」
 
「アイスクリーム・・・・」                                 
「おや、目覚めてすぐにアイスクリームをご所望かね。元気で結構だ」 
 
違うんです、ドクター。
と言おうとしたが、口が重くなって言葉にしないまま再び眠りに落ちた。
あれはね、
アイスクリームをなめるように上体をそらせるんだよと教えてくれた泳ぎ(バタフライ)の達人が言ったとおりに、事故の衝撃で体が跳ね上がった時に上体をそらしただけなんだ。達人の言葉を言っただけなんだ。

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2018/07/28

ミャンマー“ロヒンギャ”について解題執筆

こんにちは、吉田鈴香です。

 
6月末、ミャンマーの元首相キンニュン大将が執筆した『ミャンマー西門の難題』に、解題を書いて出版しました。 
 
著者:キンニュン元ミャンマー国軍大将・元首相、
解題著者:千葉大学研究グループ
発行はAmazon
電子出版、オンデマンド出版
書店売りはしていません。
 
2年前から書き溜めていた論文の要約のつもりで書きました。私は編集にも加わりました。
 
“ロヒンギャ”は英国をはじめ欧米人が好む人権の概念によって国際社会の同情を勝ち取っていますが、現実は食糧戦争であり、英国の植民地支配の落とし物です。
 
どの国にも、隣り合う国がそれぞれ理解する国民の歴史があります。日本も隣国と植民地支配のことでは見解を異にしています。同じように、ミャンマーもチッタゴンから来た人たちについてバングラデシュと国際社会が訴える主張とは異なる見解を持っています。国の歴史観とはそういうものです。歴史観がアイデンティティを作ります。
 
それに重要な世界の動きがあります。
 
 
誰がムスリムを養うのか?
 
人口爆発のイスラム諸国には穀倉地帯はあまりありません。中央アジアの水が豊かな土地はソビエト時代に綿花畑など、食糧以外の換金作物の畑にされてしまいました。エジプトやシリア、トルコ、イランにかつてあった穀倉地帯はやせ細り、戦乱で土地は荒れ、人口増加が倍々ゲームで増えるムスリムを養えるだけの土地はありません。ムスリムの人口圧力がアセアン諸国へと押し寄せていることに、思いを至らせてほしいものです。
 
そんな理解が進むことを、望みます。

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2017/11/03

ロヒンギャ対応にみる現場と方針の齟齬

こんにちは、吉田鈴香です。

 
前回ロヒンギャについて書きました。ロヒンギャ自身が土地の奪取を真の目的に行動しているのでは、という見方です。
 
ロヒンギャについてミャンマー政府は虐殺命令を出しているか、調べましたが、出てきませんでした。IDカードの所持・不所持を調べるようにという作戦はこれまで出しています。アウンサンスーチー国家顧問が、ロヒンギャが住むラカイン州の開発を進める国家開発計画を立て、。2017年から開始する予定にしていました。大きな事件後の10月、政府の予算では全く不足しているから民間資金を募りました。「こんなに手厚くしている」と訴えたい国の意図が見えます。
では、なぜIDカード不所持の人間を武器をもって追い出す事態になったのか。
 
IDカードを持っていない人間を追い出せ、とボンヤリとした方針だったからではないか、と推察します。不所持の人間をどうするか、詳細な行動計画があったのか、シュミレーションと訓練は事前にあったのか、疑問です。ロヒンギャは自国民ではない、不法居民だ、と国家方針があったとして、それを徹底して現場に卸すとき、どんな事態が起きるかを事前にシュミレーションして、現場に出る軍人たちに徹底しておかねばなりません。それが不十分だったのではないか、という予測をしています。
 
上部と現場とのかい離はどの国でもいつの時代にもあります。日本にもあります。憲法9条の平和の精神と安全保障の脅威にさらされる現場とのかい離、被災者支援の理念と被災地の復興とのかい離、原発廃止のエネルギー政策と原発処理の長い時間と新たな安定したエネルギーの確保とのかい離、などなど。こういうとき、各分野の専門知識が必要になります。分野の専門家が地域の専門家を上回る役割を果たすのです。ミャンマー国軍に民間人とのコミュニケーションを教示してくれる専門家、いますか? いません。
 
民主主義の実現には、多くの分野で知恵を提供してくれる民間の人材が必要です。政府の役割は理念と大きな方針を決定すること。実行は政府と民間、両方が必要なのです。

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2017/10/14

ロヒンギャの狙いは土地と食料

こんにちは、吉田鈴香です。

1990年代半ばころから脚光を浴びるようになってきたロヒンギャの存在について、今日は書きたいと思います。         
ロヒンギャがミャンマーの歴史に現れたのは19世紀半ば。統治国、英国がラカイン州北部で米作を進めるために労働力を必要としたからです。コメを作るに必要なのは、土地、水、労働力です。土地と水は動かせないけど、労働力は移動によって手に入れることができる。というわけで、英国は労働力をチッタゴンあたりから移動させた。作られたコメはスエズ運河に乗せて地中海沿岸、中東、ヨーロッパへと運ばれ、英国は利益を得た。英国にとって、ラカイン州もベンガり人も、土地も水も人間も利益を生む資源でした。
 
ですが、第二次世界大戦が始まるころにはラカイン州でベンガり人(のちにロヒンギャと呼ばれる)はラカイン人から恨まれるようになってしまった。なぜなら、もともとの住民であるラカイン人を南に追い出して、土地を占有してしまった方です。パキスタン政府の上部から、住む土地がほしかったら、自分たちでコメのなる土地を勝ち取れ、と指令があったとの説があります。このあたりの話は複雑になるので、省きます。
 
バングラデシュが東パキスタンという名前から独自の国名になるころ、パキスタンとの戦争により多数の死者が発生し、危険を回避するためにミャンマーへと逃げ込む、つまり、流入しました。建国以来まともに国境警備も何もないミャンマーは、多少の賄賂さえもらえば入国させたため、ロヒンギャはかなりの数の人口になってしまった。そこで、60年代末から70年代にかけて大規模な作戦を4回、講じました。IDカードを所有しているかどうかのチェックです。持っていないものは不法居民として追い出したわけです。とはいえ、19世紀にいついてしまった人たちの子孫など、ラカインで生まれた人たちもいるので、全員を追い出すことはありませんでした。
 
コメは人口を養います。小麦よりも人口が増える傾向がある。ラカインの米作地は生産力を衰えさせることなく、増える人口をもまた養い続けた。また、それを期待して、バングラデシュから続々と人は流入し続けました。
1990年代半ばころから、人道被害を理由に、国連難民高等弁務官事務所UNHCRなどがラカイン州で技術訓練などの事業を行い始め、徐々にロヒンギャを勇気づけ、彼らは経済力を少しずつ蓄えるようになっていきました。ミャンマー国内の混乱があるとどっと流入が増える。
こうして、大きな騒動では2012年夏、2016年9月、2017年8月25日、など起きてしまった。近年に入ってからの騒動は、ロケットランチャーを構えたロヒンギャの写真が報道されるようになって、はっきりわかるに至りました。ロヒンギャは被害者の面だけではなく、加害者の面を持っていると。サウジアラビアへ難民として出ていき、そこで訓練を受けてきたロヒンギャが、もどってきて、逆襲に出たのです。
9月19日のアウンサンスーチー氏の演説には、ロヒンギャの50%以上の人たちは通常とおり暮らしている、他方でバングラデシュに逃げ込んだ人達がいる、この違いはどこからきているのか自分は知りたい、という言葉がありました。
 
なるほど、そうなんですね、アウンサンスーチー氏は何か別の意図が騒動の裏にはある、それを察してくれ、と言いたかったのです。報道はすべてを表しているわけではありません。
 
ロヒンギャの狙いは、土地にある。ミャンマー独立直後に申し込まれた、土地をベンガり人に、という要求が今も生きていた。コメの豊作が期待できる土地をミャンマーから奪取することにあるのでは?
 
考えてみると、イスラム教徒が大勢を占める国で、穀倉地帯はどれくらいあるでしょう。中央アジアくらいです。それも、ソ連時代に綿花栽培に転作させられたりして、大規模に採れません。ウクライナは穀倉地帯ですが、そこはイスラム教の国ではありません。シリアも以前は穀倉地帯がありましたが、地球温暖化のせいなのか、それはなくなってしまった。インドネシアもありますが、インドネシア自体が2億人以上の人口(3億人に近いという説もあり)を抱え、ロヒンギャを難民として入れる気はない国家です。アセアン諸国が狙われ始めている。モンスーン気候でコメが採れ、土地があるアセアンを、西から次第にイスラム教徒が狙い始めているのでは?
 
人口爆発はどのイスラム教徒の国々でも大問題です。人口爆発するイスラム教徒を、だれが養うのか。どの国が面倒を見るのか。1995年ころに話題になった『だれが中国を養うのか』(レスター・R・ブラウン著)になぞらえて、思います。だれがイスラム教徒を養うのか、と。
 
自分たちの食料は自分たちで得よ、はどこでも当たり前です。しかし、イスラム教徒に限っては、治安とガバナンスが荒れて安住できる土地はなくなり、人口だけが増えてしまったけれども、ふと東を見ると、安住できる米作地はアセアンにある。
 
食料は手に入れなくてはならない生活資源です。そしてその食料を継続的に供給する土地は是が非でもほしい資源です。北ラカイン州は、西から忍び寄ってきた食料欲しさの大規模な集団の活躍の場になってしまった。これが、私が読む、ロヒンギャの背景です。
(様々な国際機関の調査ペーパー、ミャンマーの元首相の著書を読んでの、私の分析です)

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2017/02/06

目に見えない脅威を主張するトランプさん

こんにちは、吉田鈴香です。

                                            
米国の新大統領トランプさんが就任早々に7か国の国民を入国禁止したことで、ずいぶんと批判されています。人種偏見だと。論拠を示していないので、そのように思われても仕方ない側面はあります。また、専門家でもない人が戦略家という肩書で側近になっていることが、ますます怪しげだという印象を与えてます。
 
私は、国家と国民共通の、目に見える脅威に対してはその場に居合わせることが多い民と国家とは連携できると思っています。それがゆえに、前回ここで、民と国家との安全保障の協働の形が、もしかするとトランプ大統領のそれと近いのかも、という読みを書きました。しかし、人を特定せず、国籍を特定しての脅威を主張するトランプさんの主張を見ると、私の推測は間違っていたようです。特定の国家が脅威を撒いてるという場合には、入国拒否は手段になりえますが、非国家主体が主役の脅威というときには具体的な事由をもとに、暴力の源であることを明かさねば法的手段に訴えることはできません。国籍を理由にはできません。人物を特定せねばなりません。
 
トランプ大統領の真意がわからないために、メディアも米国議会も、国際社会全体もなんだか振り回されているようで、釈然としない疑問がわいてきます。私もしばらく状況を見ながら新大統領の真意を探ってみたいと思います。

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2017/01/19

国境地帯に行ってわかる、安全保障も国家と民の協働へ

こんにちは、吉田鈴香です。

国境地帯を歩くのが、仕事みたいになってきた私です。 
                                                                 
 
年末年始、中国との領海争いをしている南沙諸島へ行ってきました。フィリピンです。他の国同様、国境地帯の警備予算を十分に振り向けられないようでした。船も足りない、人員もいない。そこで、漁民、地元民、観光船の操縦士など、海域で仕事をする人たちが協力して情報を海上警備に提供していました。情報には、違法漁船の給油給水に手を貸す在フィリピン中国人についても、含んでいます。
 
セキュリティの原始の形を見た思いでした。国家の形がまだ十分に整っていなかった時代、都市国家が隆盛だった時代、軍人も民間人もなく、みんなで共同で領地を守っていました。住民共通して警戒警報を理解する民力があればこそ、可能な国家安全保障の形です。
 
税金を使って国境を守る人を雇う、育成する、武器兵器を整える、という形は崩れていたのです。いえ、途上国では前から整っていなかった、と言えるかもしれません。移動の自由が世界的に認められ、それを可能にするインフラが整ったために、「あそこはわが国の文化が及んでいる地域だから我が国のものだ」と、突然言い出す国が生まれてきました。
 
人が感じる国土の範囲は、インフラの発達により狭くなってきました。地図上は同じでも、圧倒的に近接して感じられるのです。インフラの発達が、今までは放っておいて問題がなかった地域を管理する必要を生んでいます。フィリピンだけではなく、アセアンはどの国も皆、同じ悩みを抱えています。
 
考えてみますと、セキュリティみたいな、即応力が極めて大事な分野では、国家よりも民の出番が時には大事になります。かつての都市国家のように、軍も民も一致協力して守る時代に入ってきたのだなと、フィリピンだけではなく、数年間いくつかの国境地帯を歩いてみて実感します。
 
 
トランプ新大統領の主張も、同じことなのかもしれません。メキシコとの国境線を民との協力で守る必要があると、訴えているのだなと、見えてきました。
 
明日のトランプ新大統領の演説が楽しみです。

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2016/12/03

「灰色人間がスパイ」と言い切った大学教授

こんにちは、吉田鈴香です。

                                           
今週半ば、あるテレビ番組で、ロシアの美人スパイについて放映していました。美貌を武器に、大統領が握る核の情報を収集するよう命を受けた女性が、どんな活動をしたか、という内容でした。
 
IT企業の経営者となって米国に住む、SNSを駆使して行動を世間に公表する、着飾ってパーティに出かけて接触する、など世間の耳目を引く行動をとっていたそうです。
 
それを、日本のある大学教授が、「スパイにあるまじき行い」「スパイと全く違う行動をとった、意表を突く行動だ」と、さも驚いたように言っていました。この方、本当にそう思っているなら、東西冷戦時代、あるいは、20世紀初頭の考えです。
 
スパイが灰色でよかったのは、第一グループの人口が少なく、容易に人物を特定できた時代のことです。その背後でさりげなく、立ち聞きするだけで重要な情報が手に入った。あるいは、どこにどんな情報が隠されているかが分かった。また、スモールワールドに入っていく道筋さえたてられれば、ターゲットは容易に特定できた時代の話です。人口が増え、必要な情報を手に入れるには、自分は灰色ではなく、磁石になる必要があります。
 
磁石とは、砂と砂鉄が混じっている砂丘で磁石を使って砂鉄を集めるがごとく、自分に人々の耳目が集まるよう目立つこと。自分の気を引こうと人が寄ってくるからです。次に、誰がどんな情報を持っているかを、特定すること。個別の関係を構築して、情報を吸い出すことができるからです。少なくとも、この二つが必要です。このスパイの場合は、それが美貌だった、という筋立てでした。そして、パーティで人物を探したとか。
 
 
意外なことに、米国人も欧州人も、服装はつつましいです。実務家は間違いなく、派手ないで立ちの人を警戒します。極めて重要な情報を持つ特定人物は、特に、そういう女性に簡単に心を惹かれません。美しいというだけで、大事なことを話したのでしょうか。本当にハニートラップができたのかしら?
 
現代は、みんなが情報発信をするので、誰が誰やらわかりにくい。知っていることを我も我もと、SNSで言ってくれる。パーティに行けば、みんなが偉そうに見える。否、皆が等しく何も知らないように見える。ロシアの美人スパイは、人相、風体を見極めて接触したと、テレビでは言っていましたが、それはそうでしょう。私だって、それは思いつきます。
 
何より、彼女には、情報を得るための基礎的知識はあったのかな?
 
専門知識が非常に発達した現在、収集すべき情報は細分化されています。どんな情報を得るべきか、具体的に情報を得るには、スパイはある程度の知識を持たねばなりません。テレビではそんな具体的なことを、まあ、いうわけはないので、「核に関する情報」ということでごまかしていましたが、武器の売買を行っている人から得られる情報て、どれくらいの精度の、何だったのか。気になります。アンナ・チャップマンさんがこの専門知識を短期間に覚え、役割を果たしていたとするなら、大変な頭脳です。
 
もし、私が情報を握る側の人間なら、、美しさよりも、会話の楽しさとか、自分の知らないことを知っている人(女性)に心を惹かれることでしょう。ロシアで何が進んでいるのか、知りたいですもの。そして、心の柔らかな人なら、話そうという気持ちになったことでしょう。アンナ・チャップマンさんの瞳は美しいですが、それ以外のつくりはそれほど目立つものではありません。話術こそ、本当は優れていたのでは?もし、本当に重要な情報を入手できていたとするならば。
 
ベストな情報取集の方法とは、一緒に何かをすることです。共同事業体を編成して何か特定のことをする。美貌は一時の価値でしかありません。継続的に、しかも深いところの情報を得るには、現実に何か、目に見えることを転がす作業を共にする機会を作ることです。
 
それにしても、スパイを「灰色の人間」と今でも思い込んでいる日本のセンセ、人口と情報の関係を学んだほうがいいです。

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«もしも大統領の側近がただの占い師だったら